2015-12-01から1ヶ月間の記事一覧

透明のすいみん

(浮遊している感覚、青白い四月の空のイメージ。) 最初は黙りこくりながらスコップで小石をかき集めていた。 …私がこの炭坑で働き始めたのは二日前だ。今日で三日目になるわけだけど。 毎日、石をスコップでかき集め、出すという作業を八時間やっている。 …

記録

台風の過ぎた後の綺麗な夕焼けが窓から見えた。 青空に赤ワインをこぼして、太陽の代わりに目玉焼きをのせたような空。 アスピリンの存在を知らずに育ったせいで、それを知った時、手放す事が難しかった。寝床から起き上がると、二錠の薬を飲み込んだ。喉に…

ある日の話し4 終わり

外に出ると風が突き刺さるような、寒さだった。痛風に悩まされる人間の気持ちがわかった気がした。 その日は工場で8時間の仕事をした。誰もが怠そうに働いていた。しかしここではどうやってもサボれなかった。 レールは1年に数回故障するくらいだったが、そ…

ある日のはなし3

「気がついた?」椅子の後ろ側からリルの声がした。「なんでこんな事を?」私は強く訴えかけた。幸いにも目と口の自由は奪われていなかった。 「いいから、私の言う通りにして。今からルームにいる現実へ行くべきあなたをここへ連れてくるわ。本来、人間は生…

ある日のはなし2

冷気を帯びた空気を感じながら、 階段を下るとアスファルトの地面が迎えた。 先ほど聴いていたシャンソンの音楽のせいからか、どうも白いアスファルトからは、 天国の香りがして仕様が無かった。 寒気がした。 薄手の黒いコート、ワラビーを履いていた。 頬…

ある日の話し

この前は酔っていてあまり印象に無かったのだが、よく見ると目鼻立ちのはっきりした女だった。 「入っていい?」と女は尋ねた。 「もちろんさ、構わないよ。」と返し、僕は女を招き入れ、扉の鍵を閉めた。 「ところで、君誰?」と僕は聞いた。 女はぎょっと…

無題

こなした雑事から。 mさんへの手紙、図書館に行って安井かずみさんの本、ロレンスを借りて読む。 安井さんのはなんとなくビートルズって感じだった。 やっぱりいづみさんに敵わないなぁ! ぶくの本も借りて読む。相変わらず汚い言語ですがバロウズよりも面白…

グリーングラス

やはり何事も適度ってことが重要だと思う。 睡眠、食事、休憩、仕事…。 じゃあそろそろ人生も潮時ですか?なんてクソみたいなじじいが今いました。 最近また鈴木いづみさんの本を読み返してる。 1970年代という時代を体現した彼女の半自伝的小説。 彼女…